以前、ツイートした内容がそこそこ反響があったので、今回はそのことについて簡単にまとめたいと思います。
そのツイートとは以下の内容になります。
ペットショップなどで売られている生後2ヶ月以内のうさぎは親元から早期に離されてしまい、将来的に病気にかかりやすい子になる可能性があるので迎え入れないことをお勧めします。
ショップ側としては小さく可愛い時の方が売れるので早く引き離してしまう傾向にあります。#うさぎ— maulog@獣医師🐰 (@Blog_Mareeba) September 24, 2020
そして、それなりの反響があったということを考えると、裏を返せば知らない方が多かったということになります。
人間を含めた全ての生き物に言えることですが、親元から早期に離すことは、その子にとって良いことは一つもなく、生涯にわたりその代償を背負ってしまう可能性が高くなります。
早期に離すことで十分な母乳が摂取できず、成長に不可欠な栄養成分が不足し、虚弱体質な子になってしまったり、社会化期(外界からの刺激を受けて社会に適応していくことを学ぶ大切な時期)に人との触れ合いや生活環境の音、同腹の兄弟と遊んだり喧嘩することが少なくなるのでストレスを感じやすくなったり、性格が難しい子になるなど多くの点でマイナスになります。
犬猫では2020年6月1日に改正動物愛護法が成立し、2021年6月1日から8週齢未満の子犬、子猫の販売は禁止されることが決まりました。(獣医師の立場からすると8週齢でも早すぎと感じ、3ヵ月齢以上でいいと思っています。)
しかし、うさぎでは残念ながらそのような法律はなく、好きなタイミングで販売できてしまっているのが現状です。
ではなぜ早い段階で販売してしまうのか。
うさぎが店頭に並ぶ流れとして、繁殖するブリーダーがいて、そこからペットショップ側が購入し、販売するというのが一般的になります。(ブリーダーが直接販売していることもあります。)
ブリーダーもペットショップもやはり確実に売れるタイミングで店頭に出したいという思惑があるので、なるべく小さく可愛い時期(=月齢の若い時期)での取り引きが原因となります。
小さく可愛い子ウサギなら早く売れ、また新しいうさぎを販売する…
このサイクルにより販売数を増やし、売上増加に繋がっていますが、メリットは人間側だけで、うさぎにとってはマイナスしかありません。
哺乳類の世界では母乳(特に初乳は超重要)や親からの愛情はものすごく重要になってきます。
獣医師になって初めは牛の診療をしていましたが、生まれたばかりの子牛が少しでも元気に健康に育ってほしいので、ある農家では口から管を入れて初乳を強制的に飲ませていました。
また、小動物臨床になってからは野良猫の子猫を診る機会が多く、虚弱な子は育児放棄などで初乳や母乳がちゃんと飲めてなかった可能性が高く、そういった子は大人になってからも鼻炎や結膜炎などのネコ風邪にかかりやすい傾向にあります。
もちろん親元から早く離したからと言って全てのうさぎが虚弱になるわけではありませんが、適切に育てられたうさぎと比べると将来不安を抱える可能性は高くなります。
皆さんには健康で元気なうさぎと一緒に暮らしてもらいたいので、うさぎを迎え入れる際は、2ヵ月齢以上(個人的には3ヵ月齢以上)の牧草をしっかり食べているうさぎをお迎えすることを強くお勧めします。