うさぎ

うさぎにおやつを与えるリスク

ペットショップやネットではうさぎのおやつとしてドライフルーツやクッキーなど様々な種類のおやつが販売されています。

うさぎがおやつを食べている姿はとても可愛らしいですが、その反面、多くのデメリットがあり、今回はそのことについて書いていきます。

まず皆さん、自分のうさぎにおやつは与えていますでしょうか。

与えている場合、どのようなおやつか、与える頻度や量はどのくらいか気にしていますでしょうか。

ご存知の通り、うさぎは草食動物で身体の構造は”草”に適した作りになっており、本来おやつは必要ありません。

しかし、様々な理由によりおやつが販売され、デメリットが多いというのを知らずに与えてしまっている方が多くいます。

うさぎと人間で比較して考えてみましょう。

仮に体重1kgのうさぎと50kgの人がいるとします。

体重でみると50倍違います。

もし、このうさぎに毎日ドライパイナップルを1個あげているとします。

数でみると1個はそんなに多く感じませんが、体重で考えてみると50kgの人が毎日パイナップルを50個食べていることになります。

自分が毎日50個もパイナップルを食べていると想像したら…確実に太ります。

しかもこれはうさぎに毎日1個与えていた場合で、もしそれ以上与えていると恐ろしい数字になります。

あくまでも体重でみた際の割合ですが、うさぎにとってはほんの少しの量でも結構な量になると感じたと思います。

特に生の果物やドライフルーツ、クッキーは思っている以上に容易に太ります

うさぎのお腹の中はほとんど消化管(胃や腸)で満たされていますが、ここに脂肪がつくと消化管が脂肪によって押され、ひどい子だとお腹の2/3が脂肪で埋めつくされてしまいます。

そうなると消化管の動きが悪くなり、腸の鬱滞(うったい)や停滞症になり、食欲不振となります。

さらに肥満のうさぎは治療への反応も標準体型のうさぎより鈍くなります

標準体型のうさぎの場合は数回注射をすれば食欲が戻ってくるのに対し、肥満の子は通院では良くならず、入院になり、最終手段の強制給餌をすることも少なくなりません。

また、おやつを与えることで好き嫌いが激しいうさぎになってしまうことがあります。

人間でも同じことが言えますが、小さい頃からファーストフードやコンビニ弁当など塩分、脂分、糖分が多い”美味しいご飯”で育った子にいきなり病院食のような食事を出しても食べてくれませんよね?

さらに人間だと好き嫌いがあっても叱るや「全部食べるまでゲームしちゃダメ」といったことができますが、うさぎに「この牧草を食べるまで遊んじゃダメ」といったしつけは不可能です。

なので、選り好みが激しい子の場合、牧草主体の生活に戻すのは相当な時間を要し、中には好き嫌いがなおらない子もいますので、獣医師の立場からするとその子の将来を考えるのであればおやつを与えない方が確実に健康で長生きします。

ではおやつをあげたい場合はどうするのか。

ペレットをよく食べてくれる子であればペレットを一つまみあげるか、野草や野菜(ブロッコリーの芯、小松菜、明日葉、ニンジンの葉、ケールなど)を与えるのもいいでしょう。

長い棒状で手で持ってあげられ、粗繊維量も問題ないペレットをいくつかご紹介しておきますので参考にして下さい。

 

おやつを食べている姿や丸っこい体型は可愛いかもしれませんが、うさぎは人間とは違い自らご飯やおやつの量をセーブできません

肥満の責任は全て人間にあり、一歩間違えれば過剰な肥満は動物虐待と捉えられても仕方ありません。

この言葉が心に刺さった方は今からでも遅くないので可愛い我が子の食生活に気を使ってみてください。

太るのは簡単で、ダイエットは時間がかかりますがおやつを減らすだけで成果がでますので、我が子を健康に少しでも長生きしてもらいたいという気持ちがありましたら今日から頑張ってみましょう。

陰ながら私も応援します。