年齢を重ねて足腰の筋力が低下したうさぎや脳炎や脳腫瘍、神経疾患、中耳炎、エンセファリトゾーンなどにより斜頸や眼振、ローリング(旋回)といった神経症状を呈しているうさぎと生活している方もいると思います。
今回はそのようなうさぎと暮らす上でQOLを向上させるための飼育方法について、ケージ内の安全対策や抱っこのコツについて書いていきます。
ケージ内の安全対策
健康なうさぎのケージ内にある物として、牧草入れやペレット入れ、トイレ、ベット、おもちゃなどが多く使われているグッズになります。
しかし、筋力低下で歩行困難の子や神経症状を呈している子の場合、これらのグッズが生活する上で障害物となります。
牧草入れやペレット入れを設置していても入れ物の高さが高く食べるのが難しくなり、トイレに関してもトイレに上ることが容易でない為、ほぼ100%トイレでうんち、おしっこをしなくなります。
ですから、これらの障害物となるグッズを一度全て取り払い、唯一設置する物は浅めのペレット入れとお皿から飲むタイプの給水機です。
お皿から飲むタイプの給水機に関しては、器の位置が低い位置にあるので神経症状のうさぎでも飲みやすく、また水入れを倒しこぼしちゃう子、水を飲む量が多い子(ボトルに300ml程度入れられるため)にもお勧めです。
牧草、ベット、おもちゃはどうするの?と感じる方もいるかもしれませんが、牧草は直置きで構いませんし、ベットやおもちゃは不要となります。
必要なグッズ以外を取り除いたケージにそのままうさぎを住ませても、ローリングにより無意識のうちにケージの隙間に足を挟み骨折してしまったり、トイレを設置していない為、体がおしっこ、うんちまみれになり皮膚炎になるといった危険性やQOL低下の要因が残ります。
これらを防止するために活躍するのがバスマットとバスタオルです。
まず、ケージのサイズに合う吸水マットを敷き(大きい場合は2つ折りにして使用もできます)、バスタオルを丸めて四方を囲みます。
バスマットはアマゾンやホームセンターで様々なタイプの物が売られていますが、お勧めは写真のような毛先が長いマットが吸水力があり、もじゃもじゃの部分があることでおしっこやうんちの緩衝となり、体が汚れにくくなります。
汚れたマットは洗う必要があるので2,3枚あると安心です。
生活範囲が狭いのではと感じる方もいると思いますが、神経症状を呈しているうさぎに広いスペースは必要なく、最低限のスペースで十分となります。
抱っこについて
今までは普通に抱っこできていたのに神経症状を呈している場合、抱っこをしても頭や腰がグルんグルんと動くため、抱っこの扱いが難しくなります。
抱っこのコツとしては床に座ったままかお風呂の椅子などの低い椅子に座った状態で必ず行い、素早く体を持ち上げ、自分の足の間や腕でうさぎの体を軽く挟みます。
うさぎは体が密着していればあまり動くことはありません。イメージとしてはピッタリした服をまとっているような感じで包む感じです。
ただ、元々抱っこが苦手だった子の場合、神経症状を呈していても飛ぼうとするので絶対に無理はせず、また強い力で上から押さえつけたりすると骨折や神経を傷める恐れもあるので、「やばい!」と感じたらすぐに床の上で手を放してあげて下さい。
最後に歩行困難や神経症状を呈した後、初めは飼い主自身がパニックになることもありますが、意外と今まで通り生活を送るうさぎも多いです。
健康なうさぎを飼われている方にも言えることですが、飼育方法に正解はありません。
うさぎの状態や家庭状況など様々なのでそれぞれに合った暮らし方を見つけ、ヒト、うさぎ共に楽しく幸せな生活を送れることが一番だと私は感じます。