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【うさぎの都市伝説】
うさぎは寂しいと死んじゃうって本当?

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以前、「うさぎの都市伝説」についてTwitterで募集しましたが、日々うさぎの診察をしていると様々な都市伝説を耳にし、中には「本当にそんな都市伝説があるの?」と耳を疑うようなものもあり、そのような誤った情報を信じてしまっている方もいます。

そんな都市伝説に関する疑問の解決や飼い主の方々の誤った知識を正すためにこの企画を考えました。

今回はその1回目「うさぎは寂しいと死んじゃうのか」について書いていきたいと思います。

1. 「うさぎは寂しいと死んじゃう」のは本当?嘘?

この都市伝説の答えは“嘘”になります。

うさぎは寂しくても死にませんし、むしろあまり構わずゆっくりさせてあげた方が健康的に過ごす子が多い気がします。

ではなぜこのような都市伝説があるのでしょうか。

2. 「寂しいと死ぬ」と言われている由来

由来に関しててはいくつかの諸説がありますが今回は2つご紹介します。

【諸説①】
一番有名なのが1993年にフジテレビ系列で放送された江口洋介さん主演の大人気ドラマ「ひとつ屋根の下」のセリフの中に「うさぎって寂しいと死んじゃうんだから」というのがあり、そこから世間に広まったと考えられています。

「ひとつ屋根の下」の最高視聴率37.8%は1990年代の全民放ドラマの最高視聴率で、2022年現在のフジテレビドラマの歴代最高記録でもあるとのことで、やはりテレビの影響力は凄まじいですね。

【諸説②】
うさぎは急変しやすい動物であり、そのため「外出中に亡くなっていた」や「朝起きたら亡くなっていた」などそれまで元気で食欲もあったのに目を離した短時間のうちに亡くなることもあるので、そこから「構っていない間に亡くなった」⇨「寂しくて死んじゃった」というようになっていったのでは考えられます。

私自身、このことは諸説①にも影響を与えているものだと考えており、「ひとつ屋根の下」の脚本家やプロデューサーなどドラマ関係者の方がうさぎを飼っていて、急に我が子を亡くした経験をしたため「うさぎって寂しいと死んじゃうんだから」というセリフを入れたのではないかと推測しています。

急変するリスクについては別の記事でも書いていますのでご参考にしてみて下さい。

3. うさぎと良好な関係を築くには

これまで「うさぎは寂しくても死にません」ということを書いてきましたが、では実際うさぎと過ごすにはどうしたらいいのでしょうか。

獣医師の立場からお伝えするとうさぎに限らず犬猫などの動物にも言えることですが「付かず離れずの関係」が理想になります。

「付かず離れずの関係」とはご飯やトイレの掃除の時はよく食欲の有無やうんちの状態をチェックし、それ以外の時間は遠目で様子を見守るといった感じになります。

どうしても可愛い我が子には深く愛情を注ぎたくなり、長い時間遊ばせるや片時も目を離さないなどしてしまいがちですが、うさぎの場合は24時間常に牧草やペレットを食べ、排便する動物なのでプライベートな時間を作ってあげるのも必要になります。

実際、自分に置き換えてみても24時間家族に見守られている状態だと思うように行動できず、ストレスが溜まってしまいますし、また愛情を注ぎすぎるとワガママな子になってしまい、ケージから出してと訴えたり、遊んで欲しいと我が強い子になってしまうことがあります。

私が勤務している動物病院でも入院しているうさぎは治療やご飯、入院室の掃除、食欲のチェックのタイミング以外は人目に触れない環境で過ごしています。

また、退院後すぐ食欲が落ちたという方には「元気になるまでケージを人目につかないところに移動したり、ケージに大きめのタオルを被せて1人にしてみてもいいかと思います。」とお伝えし、様子をみると良くなる子が多いです。

もちろんその子によって性格など違いはあり、毎日長時間遊んでいても牧草をよく食べ、良いうんちをするうさぎもいますが、うっ滞になりやすい子や食欲うんちが安定しない子の場合は、1人にする時間を少し長く(お勧めの遊ばせる時間は1日15分)してみてもいいと思います。

我が子を1人にするのは寂しいと感じるかもしれませんが、健康で元気になってくれればより幸せなうさライフを過ごすことができます。

最後に本来なら私自身も「深く愛情を注いであげて下さい!」と書きたいので、上記のように書くのは大変心苦しいですが、あくまでも獣医師の立場でうさぎの健康を思って書いている点に関してはご理解いただけると幸いです。

次回もうさぎの都市伝説について書く予定ですのでお楽しみ!