皆さんは我が子の体調が優れない時、どのタイミングで動物病院に連れて行きますでしょうか。
すぐ受診する方や数日様子見る方など様々な意見や考え方があると思いますが、今回は食欲、うんちの状態から動物病院を受診するタイミングをどう判断するかについて書いていきたいと思います。
途中、腸の状態を車のエンジンに例えるといった少し難しい内容もありますが、気軽に読んでみて下さい。
1. うんちは何個出てればいい?
来院される方の中に「うんちってどれくらいの大きさで、1日に何個くらい出てればいいのですか?」との質問を受けますが、回答としては「その子その子で大きさ、数は違う」というお答えしかできません。
フレンチロップや体が大きめのロップと比較し、小柄なネザーのうんちの大きさはもちろん小さくなり、うんちの個数に関しても1日100個以下でも食欲、元気があるうさぎもいれば、1日200個以上出てた子が100個に減り、食欲、元気もないというように必ずしも「1日◯◯個以上出てなければならない」というようなものではありません。
では、なぜうさぎによってうんちの個数は違うのか。
それは腸の状態で異なり、うさぎを診ている動物病院では腸の状態とはよく「腸の張り」といった表現が使われ、その腸の張りの良し悪しでうんちの大きさ、個数が変わってきます。
2. 腸の張りを車のエンジンで考えてみよう
ここまでで「腸の張りって何?」と疑問に思う方もいらっしゃると思うので、腸を車のエンジンに例えて説明します。
ではまずネザーランド・ドワーフを普通自動車に置き換えて考えてみましょう。
普通乗用車(ネザー)を動かす(元気に暮らす)には普通自動車(ネザー)を動かす(元気に暮らす)のに適した大きさのエンジン(腸の張り)が必要ですが、普通自動車に軽自動車のエンジン(腸の張りが正常な状態の60%に低下した状態)を積んでいる場合、少しは走るけどすぐにエンスト(食欲・元気低下の状態)し止まってしまいます。
要するに体に適したエンジン、つまり腸の張りが必要で、健康な子は腸の張りが100%ですが、食欲が低下したうさぎや牧草をあまり食べない子は腸の張りが50%、場合によっては20%まで低下しているうさぎもいます。
持っているエンジン(腸の張り)が適切なうさぎの場合、例え食欲が低下しても適切な治療を施せば比較的早く回復に向かいますが、持っているエンジン(腸の張り)が小さければ小さいほど、エンストしやすく(食欲不振になりやすく)、治療への反応も鈍くなり、場合によっては入院も必要になってきます。
また、脂肪の有無もエンストしやすい原因となります。
5人乗りの普通自動車に常に10人乗っていれば確実に早くエンストするのと同じで、脂肪が多い子は腸のうっ滞や停滞症になりやすく、治療への反応も鈍くなります。
うさぎは外見からだと脂肪の有無は分かりづらく、お腹のレントゲンを撮って初めて脂肪が多いと分かる子も少なくありません。
脂肪がつく要因としては、マンゴーやバナナなどのドライフルーツや生の果物、ビスケットなどのおやつ類を多く与えていることが考えられ、例えおやつ類を毎日一欠片だけを与えていたしても人間でいうとケーキを1日1個食べているようなものなので、容易に太ることが想像できます。
おやつをどうしても与えたい場合はペレットや生野菜にしましょう。
3. 動物病院へ連れて行くタイミング
「1日100個以下でも食欲、元気があるうさぎ(ここではうさぎA)」と「1日200個以上出てた子が100個に減り、食欲、元気がないうさぎ(ここではうさぎB)」ではどちらを動物病院へ連れて行くべきかお分かりだと思います。
もちろん後者のうさぎBは受診した方がいいでしょう。
うさぎAもうんちが1日100個以下と少なく、できれば増やしたいところですが、恐らくうさぎAの場合、元々の腸の張りが60%の状態で長年暮らしてきていて、牧草やペレットを食べている量は少なく、うんちの個数も少ないが細々となんとなく暮らしている状態が続いていることが考えられます。
長年、腸の張りが60%の状態で生活しているとそれがその子にとってのデフォルト(標準)になってる可能性が高く、治療しても60%から良くなるかどうか微妙なところです。
ただ、通院や入院で1度は治療してみて、それでも腸の張りの改善がみられなければ、獣医師と話し合い、元気に暮らしていて、うんちの個数が減らなければ良しとするのも一つの選択肢となります。
うさぎBに関してはうんちが減り、食欲も落ちているのですぐに受診、治療すべきですが、中には「うんちの個数は変わらないが牧草を食べる量が減った」や「食欲は変わらないがうんちが少し減った」など微妙な変化の場合もあります。
しかし、こういう微妙な変化の場合でも動物病院へ連れて行くことをお勧めします。
「微妙な変化=普段と異なる」と考えられ、普段と異なることがあればうさぎの体内で普段と異なる何かが起きている可能性が高くなります。
うさぎは半日様子を見ただけでも重篤な状態に陥ることが少なくなく、この微妙な違いを感じ取り、すぐに受診、治療することでそういったことを防ぐことができます。
以上、うさぎの食欲、うんちと受診するタイミングについて書いてきましたが、腸の張りについて理解するのは中々難しいと思いますが、少しでも皆さんのご参考になれば幸いです。