貴重な瞬間

今日、診療中、貴重な瞬間に立ち会いました。

他の牛を治療中、分娩房(お産が近い牛が集められている場所)を見ると、何とお産が始まっているではないか!

<お産の動画>

「えっ、お産ってそんなに珍しいの?!」と思うかもしれませんが、難産の往診依頼はあります。

しかし、今日は自然分娩で産もうとしている瞬間でした!

獣医師が立ち会うお産は、本来は両足が出てこないといけないのに「片足しか触れないんだけど~」とか「頭が触れないんだけど」というような胎児失位の場合や子宮捻転のような難産がほとんどです。

今回みたいに両前肢⇒頭の順で出てくる正常分娩(専門用語だと頭位上胎向)に出くわすことはまずありません。

なぜなら、正常分娩の場合、農家さん自身も経験上、大丈夫だと分かっているので電話はかかってきません。

また、両前肢と頭が触れるようになったら足にロープをかけて引っ張って、娩出させることがほとんどです。

なので今回のように正常分娩で力んでいる場面は珍しいのです。

ではなぜ、今日見ることが出来たのか。

それは、この牛舎はフリーストール牛舎といって牛が放し飼いで飼われており、たとえ自然に生まれたとしてもその後、母牛が濡れた子牛を舐める(リッキング)ことができます。

リッキングとは濡れた子牛の体を舐めることで、舐めることにより、子牛の体温低下を防ぎ、また母牛、子牛の両方とも免疫が活性化されると言われています。

しかし、繋ぎ牛舎の場合、首が繋がれているので、生まれた後舐めることはできない為、引っ張って出します。

まあ、今回は従業員が忙しくて、分娩の方に手が回らなかったというのもあるかもしれません。(いつもでしたら、引っ張って出すので。。。笑)

今回はこのような貴重な場面を見ることが出来たのでブログにしてみました。

最後に母子共に健康です!