獣医学部新設は必要か!?

こんにちは。

最近、世間では獣医学部新設のニュースで色々騒がれています。

今回は獣医師視点から観て、”本当に獣医学部新設は必要かどうか”について書いていきたいと思います。

最初に結論から言いますと、私の考えでは獣医学部の新設は”必要ありません”

政府は「獣医師の数か不足しているため獣医学部を新設する」と言っており、実際問題、獣医師は不足しています。

しかし、獣医師数が不足している分野は主に私が従事している産業動物分野と公務員獣医師の仕事である公衆衛生分野であり、ペットを診るいわゆる小動物獣医師はそれほど不足していません。

では、なぜこの2つの分野において獣医師が不足しているのでしょうか。

(獣医師の仕事内容に関しては、以前のブログ『獣医学生の進路』に記載してあります)

まず産業動物獣医師は主に牛相手なので「力仕事で大変」「犬猫が診たい」「地方で働くのが嫌だ」(主に牛は地方で飼われているため)などの理由で従事する人が少ないのです。

どうやったら増えるのか。

正直、産業動物獣医師を増やすのは容易ではないと思います。

なぜなら、「獣医学部に入ってくる多くの学生は小動物獣医師を夢見ている」からです。

これを変えるには牛に関する講義や実習を増やす、待遇改善などが考えられますが実際問題難しいと思います。。。特に首都圏の獣医大学では。。。

公務員獣医師に関しては、主要都市では不足していませんが、地方では常時不足しているのが現状です。

どうして地方公務員の獣医師が不足しているのか。

それは獣医師が行う仕事内容が多岐にわたり、その結果として不足しています。

例えば、食肉の検査や家畜保健衛生所、検疫所等で獣医師が働くのは理解できますが、美容院や飲食店の営業許可を出すかどうかや衛生指導も獣医師(加えて薬剤師)の仕事となっています。

獣医師である私の意見では「これ獣医師の仕事じゃないよな~」と感じています。

獣医師、薬剤師がこのような仕事をしているのならば人間の医師の方が適しているのではないか。

では、なぜ医師はこのような仕事をしないのか。

それは獣医師、薬剤師と比べ2~3倍給料が高いからです。

高い給料を払うのなら同じような職種で給料が安い獣医師や薬剤師に任せた方が良いという考えなのです。

美容院や飲食店は直接ヒトの健康に関わるものであるのに、上記の理由で医師がやるべき仕事を獣医師や薬剤師がやっている。

正直これでいいのかといった感情です。

では、解決方法はないのか。

私なりに以下の2つを考えてみました。

  1. 公務員獣医師(薬剤師)の待遇を改善
  2. 管理衛生士のような資格職種を新たに作る

1つ目の待遇の改善に関しては「自分勝手かよ」のような意見もあるかもしれませんが、公務員獣医師ではない私だからあえて発言できることだと思います。

医師と同じような仕事をしているのになぜ給料は低いのか。

待遇を改善すれば公務員獣医師になる人も増え獣医師不足を解消できるのではないか。

別に医師と同じ給料にした方がいいと言っている訳ではありません。

医師が飲食店などの許可を公務員として行った場合、恐らく年収1000~1500万円程必要だと思います。

しかし、公務員獣医師の平均年収は500万ちょっとです。

これを750~1000万円程にまで上げればそれなりに人手不足は解消できると私は思います。

2つ目の管理衛生士のような資格職種を作るというのは、飲食店や美容院などの営業許可や衛生指導を主に仕事としてやる職種を新設するという考えです。

これは人間の健康に関わることなので資格や免許制にしないといけないとは思いますが、需要があり資格を持つので安定した仕事だと感じます。

色々と書いてきましたが、世間で言われているほど獣医師は不足していません。

実際、今回の獣医学部新設を巡っては日本獣医師会は反対していました。

反対した理由は日本獣医師会 会長短信「春夏秋冬(42)」に記載されていますが「獣医学部新設よりも産業動物獣医師、公務員獣医師不足の改善、獣医師の待遇改善などを行うべき」という考えもあると思います。

今回ような問題で獣医師が注目されるよりも、良いニュースで獣医師という職種が注目されるよう心から願うばかりです。