-牧場開拓記-

牧場について~vol.7~

前回の牧場に関する記事では道路幅の問題をどう解決していくかなどを書きましたが、その記事を書いた1週間後に県の方から重要なことを伝えられました。

今後について~vol.6~今日は今後の牧場のことについて書いていきたいと思います。 以前の記事(難しい決断~vol.5~)でも書きましたが、道路幅の問題で加工施...

それは、

「栃木県内では放射能の影響で山林での放牧は認められていない」

ということでした。

この話を聞いた時は、

「関係機関7ヵ所程に出向いてきたのになぜこのタイミングで?」

「どの機関も放牧できないということは知らないのか?」

「7割方牧場を始められると思っていたのに…」

というのが正直な気持ちでした。

放牧は認められないという言葉だけで、この5ヵ月間牧場開業に向け費やした時間と労力、お金が無駄になってしまいます。

もし最初から放牧できないという事を教えていてくれたらこの5ヵ月間を別のことに費やせたのではと憤りがあります。

今までブログではあまり公的機関のことは書いてきませんでしたが、この際皆さんにもシェアしたいと思います。

ご存知の通り、公的機関は縦割り社会ですが、恐らく皆さんが思っている以上に完全な縦割り社会です。

牧場の件での打ち合わせの際も、同じ建物内で4階にある部署と2階にある部署の間でやりとりしてくれれば済む話を、「そちらで2階に行っていただき、話をまとめて下さい。」という具合でした。

一般企業でこういう会社があれば、倒産するのは確実でしょう。

こちらとしては「同じ建物内にあるんだから役所間で話し合ってくれればいいのに。こっちでやると2度手間になるし。」という思いでした。

しかし、「ここの部署の仕事はこれ」というふうに完全に割り切ってしまっているのが公的機関です。

総合窓口のような部署を作り、そこが司令塔となって各関係機関とやり取りしてくれればいいのにと何度も思いました。

かと言って、どうすることもできず、素直に自分の足で行くしかありません。

総理大臣や都道府県知事が動かなければこの構造は変えられません。

もちろん縦割り社会だからこそ、今日の素晴らしい日本があるという良い点もあると思いますが、僕はこの点を考慮しても、この縦割り社会は変えなければならないと感じました。

放牧はできないと言われ、「何か山林でやれる方法はないのか?」と聞いたところ、

「山林は農地のように人の手で管理されていないため、放牧地の木を全て伐採、伐根し、表土を反転するいわゆる天地返しをし除染する必要がある」とのことでした。

計画では放牧地は5haだったので、この面積全てを伐採、伐根、天地返しをした場合1ha当たり500~1000万円、5haだと数千万~5000万円かかり、ここに牛舎や加工施設、運転資金などが必要になってきます。

また、当初は放牧面積が5haでも伐採面積は1ha以下にする予定でしたが、除染の為に5ha全部を伐採するとなると、伐採面積が1haを超えるので林地開発に当たり、調整池などの整備も必要となり、調整池だけで数千万円かかります。

そもそも、候補地は斜面もあり、伐根の車両が入れない場所も多いので建設会社の方曰く、「伐根は手作業でできなくもないがかなり時間がかかるので現実的に難しい」とのことでした。

素人の考えですと、放牧地の表土や木、草の放射線量を測定し、もし、基準値より高ければ除染し、低ければ除染せずに放牧でき、搾乳した牛乳の放射線量を毎回測定するという2段階で測定すれば良いのではと思うのですが、「国が決めたことなので」と言われたらどうすることもできません。

牧場を始めるに当たり今回の放射能の問題や道路幅の問題など他にも多くの条例などがあることが動いてみて初めて分かりました。

これに関しても条例を作ることは良い事だとは思いますが、条例に縛られるのはどうかと感じました。

例えば山林の開発で、条例では今回のような木を残して行う林間放牧ディズニーランドのような木を伐採して造るテーマパークでは開発面積が同じ10haだとしてもを両者ともに大規模開発に当てはまるとのことで、放牧牧場をやりたい僕自身にとっては納得できないことでした。

これは土地の開発だけでなく、ITや医療、教育、飲食など様々な分野で言える事で、条例が新規参入者を排除してしまい、それが日本の衰退に繋がるのではと感じました。

しっかりとした条例がなければ無法地帯になるのではと感じる方もいるかもしれませんが、ある程度融通が利く大まかな条例を作り、定期的に監査を行い、もしその条例に従わない場合は営業停止や罰金などの罰則を設ければ、条例を破るようなことはないと思います。

条例は上手く使えば国のためになるが、誤れば国の衰退に繋がる難しいものですね。

書いてきたとおり、道路幅の問題が解決できると思った矢先に放射能の問題が出てきて、悔しいですが諦めざるを得ない状況となってしまい、応援していただいてる方には申し訳ない気持ちで一杯です。

今後はまだ未定ですが、この5ヵ月間、1つのことに力を入れて取り組んできたので、またすぐに別の土地を探し始めるような気持にはなれないのが正直な気持ちです。

ただ、牧場をやるという夢は諦めたわけではないので少し考えてまた動き出したいと思います。

このブログも牧場開拓記の記事は少しお休みになりますが、日常生活で感じたことや獣医に関すること、旅行のことなどを書いていきますので引き続き読んでいただけたら幸いです。