よく診察時に「うさぎにシャンプーはしていいのですか?」と質問を受けることがあります。
今回はその疑問にお答えしたいと思います。
1. うさぎにシャンプーはしてもいいのか
結論からお伝えしますと、うさぎにシャンプーをすることはお勧めしません!
お勧めしない理由としましては以下の3つ挙げられます。
2. シャンプーをお勧めしない3つの理由
理由①:毛が密に生えているため
うさぎは犬と比べ毛が密に生えている動物なため、水で濡らし、シャンプーをするとその後乾かすのに数時間と物凄く時間がかかり、人もうさぎも疲れ切ってしまい、それが原因で食欲不振に陥ってしまうことがあります。
理由②:皮膚炎になりにくいため
犬ですとアトピー性やアレルギー性、細菌性など様々な皮膚炎になる子が多く、シャンプーによるケアが必要となりますが、うさぎの場合は皮膚炎自体が犬と比べると少なくなります。
もちろん、うさぎもダニやノミなどの外部寄生虫によるものや糞尿汚れ、細菌性、腫瘍性など様々な原因で皮膚炎になることがありますが、シャンプー以外の適切な治療やケアで改善していくことが多いです。
理由③:あまり汚れないため
散歩をする犬と比べるとうさぎはあまり汚れず、多少の汚れであればうさぎ自身がグルーミングすることでケアできるので、シャンプーの労力を考えるとその必要性が低くなります。
ただ中には、高齢のうさぎや神経症状を患ったうさぎなどは糞尿でお尻周りが汚れたり、グルーミングが難しい場合があるので、その際は人間によるケアが必要になります。
そのケアの方法については後半でお伝えします。
3. 汚れが付きやすいうさぎの特徴
今まで「うさぎにシャンプーは必要ない」とお伝えしてきましたが、「じゃあ、汚れがひどい場合はどうしたらいいの?」と疑問が浮かんでくると思いますのでその対処法について書いていきます。
うさぎで一番汚れやすい部分はお尻周りになり、汚れやすいうさぎの特徴や原因にはいくつか挙げられます。
①高齢による関節痛
②神経症状
③肥満
関節痛や神経症状、肥満による汚れは、関節の痛みや脂肪が邪魔になるなどの要因によりお尻周りに自分の口が届かず盲腸便を食べることができなかったり、グルーミングができないといったことが考えられます。
また、活動力の低下により、トイレで排泄をしなくなり、すのこが糞尿で汚れ、その上に乗ってしまい汚れにつながります。
実際、我が家のチャイも神経症状を患ってから明らかに盲腸便の採食ができなくなりました。
今は眼振やローリング、斜頸などの症状は見た感じありませんが、恐らく神経症状発症後、お尻周りに口を近づけるといった行動が難しくなったのではと考えています。
なので、チャイもお尻周りが汚れやすく定期的にケアをしています。
④毛が長い
ジャージーウーリーやアメリカンファジーロップなど毛の長い種は想像がつきやすいと思いますが、毛の短いうさぎと比較すると、糞尿が毛に絡まりやすくなります。
⑤エネルギー過多で盲腸便が多い
盲腸弁はおやつやペレットの与えすぎはエネルギー過多になり、盲腸便の量が多くなります。
エネルギー量が適切であれば、排泄した盲腸弁はほとんど採食しエネルギー源としますが、盲腸便の量が多いと食べきれず余ってしまい、その余った盲腸弁を踏んで汚れてしまいます。
4. 汚れた際の対処法
では実際、汚れた場合の対処法はどうすればいいのでしょうか。
①こまめなブラッシング
汚れがつくとその部分が毛玉になり、それが徐々に大きくなり、最悪の場合、皮膚にガッチリついて簡単には取れなくなり、皮膚炎になることもあります。
そうならないためにこまめにブラッシングすることで毛玉を予防したり、万が一皮膚炎になっていても早期発見することができます。
ブラッシングする際に気を付けることは、うさぎの皮膚は薄く、避けやすいのでコームの先が丸まったものを使用し、毛玉の部分は少しずつ解していくように取っていきます。
病院では以下のステンレスタイプのコームを使用してケアしていますが、先が丸まっていないので慣れていないと皮膚が裂けてしまうリスクはありますが、慣れれば一番ケアしやすいです。
しかし、お尻周りのケアをするとなると仰向けにしなくてはならず、仰向けの保定は上級者向けになり、無理にやると骨折などの怪我のリスクがあるので、少しでも難しいと感じた場合は無理はせず、動物病院でケアしてもらいましょう。
②ドライシャンプー
ブラッシング以外にお勧めの方法としてドライシャンプーがあります。
ドライシャンプーとは泡状のシャンプーを汚れた部分につけ、少し揉んでから乾いたティッシュやタオルなどで拭き取るといったものになります。
汚れがひどい場合やニオイが気になる場合にブラッシングと併用することで上手くケアすることができます。
使用する注意点としては塗布した後によく拭き取らず、湿ったままにしておくとそこから皮膚炎になる可能性もあるためよく拭き取ることが重要になってきます。
実際に病院で使用しているドライシャンプーのリンクを載せておきますので気になった方は使用してみて下さい。
③お尻周りの毛刈り
上記のブラッシングやドライシャンプーで綺麗にコントロールできればいいのですが、こまめにやる必要があり、少しでも間が空いてしまうと毛玉ができたり、ニオイが発生してしまいます。
そういった場合は、一層のことお尻周りをバリカンで毛刈りすることをお勧めします。
毛刈りすることで毛の生えるスピードにもよりますが、大体の子で数ヶ月は綺麗に保たれるので、日々のケアのことを考えると楽になります。
毛刈りする場合も自宅では難しいことがほとんどなので、動物病院にお願いしましょう。
④バスマットの使用
以前のうさぎの介護の記事でも記載しましたが、お尻周りの汚れはバスマットを使用することで抑えることができます。
ホームセンターで様々な種類のバスマットが売られていますが、その中でも写真のような毛束が長い、ドレッドヘアみたいなバスマットが一番ケアしやすいです。
毛束が短いタイプのものもありますが、長い方が隙間にうんちや尿が落ちるので直接糞尿に身体がつきにくくなり、汚れを予防できます。
⑤定期的なチェック
しかし、ブラッシングやドライシャンプーが自宅で可能な子はほんの一握りなのが現状で、ケアが難しい子がほとんどなので、ケアをできなくても落ち込まないでください。
そのような場合は、可能なら定期的に抱っこしてお尻の汚れをチェックし、動物病院でケアしてもらうといった方法でいいと思います。
自宅でのお尻のチェックも難しい場合もあるので、その際は無理せず、動物病院での爪切りのついでにチェックしてもらいましょう。
以上、今回はうさぎのシャンプーについてやケアの方法についてお伝えしました。
私は一番重要なことは皮膚炎や毛玉にしないために定期的にチェックすることだと考えており、そうすることで、例え皮膚炎や毛玉になったとしても早期発見、早期治療することができ、大事にはならなくて済みますので是非ご参考にしてみて下さい。