-牧場開拓記-

放牧牧場を始めるに当たり感じたこと~vol.4~

今回は放牧牧場を始めるに当たり感じたことを書いていきたいと思います。

まず、解決しなければならない法的な問題が多いということです。

前回の記事にも書きましたが、例えば、面積が5ha以上だと大規模開発・林地開発に当たり県の許可が必要や観光牧場にするには牧場周囲の道路が6.5m以上なければならないなどがあります。

他にも乳製品を作るには保健所による工房の許可が必要で、機器の洗浄をするシンクは2つに分かれているダブルシンクでなければならず、それぞれに蛇口が付いてないといけなかったり、温度表示がある冷蔵庫を使用すること、商品が異なる場合はそれぞれに製造室を設けることなど多岐にわたります。

牧場を始める際に解決しなければならない法的な問題を一部記載しましたが、まだまだ多く規定されており、正直細かすぎるのではないかと感じました。

10haなので法的には大規模開発・林地開発には当たるのですが、今回は放牧牧場で伐採する木も最小限に留め、建物も牛舎と乳製品の工房で敷地面積が100㎡あれば足ります。

山林を切り開いて、ディズニーランドのようなテーマパークやホテルなどを建てるなら分かりますが、今回は建物を建てる敷地面積で考えると10haに対し100㎡なので0.1%で、これが大規模開発・林地開発に当たるのか個人的に疑問に思いました。

法律がしっかりしているからこそ今日の日本があると思うので致し方ない部分もあります。

「法律だから・・・」と言ってしまえばそれまでですが、その法的なことを解決する為に時間やお金がかかるため”何かを始めたい!”という方の夢や挑戦が抑えられててしまうのではと感じました。

今回も大規模開発・林地開発に当たらなければコンサルタントに依頼する必要もなく、県の許可も不要になり、時間もお金も大幅に削減できます。

全ての事業を大規模開発や林地開発に含めるのではなく、もう少し臨機応変に対応すれば、面会や許認可申請の書類の確認時間が削減でき、公務員の方の負担軽減にも繋がるのではと思います。

大規模開発・林地開発に含まれない場合は、事業者は建物を建てる際は県や町に許可を取り、計画書とは違う建物や伐採する木の割合が多すぎるなどといった場合は営業停止などの罰則を設けるればけ計画にはない開発はしないと思います。

ただ、”全てが法律通り”という訳ではなく、許可を出す方の裁量やコンサルタントの力量、公務員の方との繋がりの度合いによっても変わってくるようで、要するに表には出ない様々な大人の事情があるそうです。

他に感じた点は多くのことに時間を費やすということです。

色々な申請をするために県の地域振興課や土木事務所、保健所、町役場など多くの所に足を運ばなければならず、想像以上に時間を費やします。

「○○するのは問題ないですか?」と県の方に聞いたところ、他の課に問い合わす必要がある内容だったため、すぐには答えられないということもあり、「公務員という仕事は縦割り社会だから時間がかかって申し訳ないです。」と仰っていました。

また、大規模開発・林地開発の県の許可を受けるにも平均6ヵ月かかります。

許認可申請をする前に事前協議を県の方と行い、事前協議の段階でほぼ許可が通る段階まで話は進むのですが、そこから許認可の書類を出し、許可が下りるまで6ヵ月かかるというのは少し腑に落ちません。

これも縦割り社会だからかは分かりませんが、受け入れるしかありません。

統括課のような司令塔になる課を作り、そこの課のみに事業者が行けば良いというような体制も作った方が事業主だけではなく、国民にとってもいいのではと感じました。

 

今回は、感じたことを率直に書きましたが、今後広い土地で事業を始める方や乳製品を作る方などの参考に少しでもなればと思っています。

また、”牧場開拓記”のカテゴリーがついた記事に、書いた順番通りにvol.1、vol.2…とタイトルに付け、順を追って読めるようしました。

読んでいただけたら嬉しいです。